脳とともに、高血圧がもっとも命を脅かすのが心臓の病気です。高血圧は信三王にふったんをかけ肥大させるとともに、心臓を養う冠動脈の動脈硬化を促進します。
心臓では心肥大、狭心症、心筋梗塞に注意!
心肥大
心肥大とは、その名の通り、心臓が大きくなってしまうことです。血圧が高くなると、心臓はより強い力で血液を送りださなければいけません。そのため負担がふえた心筋が厚くなり、心臓が大きくなってきます。これが心肥大の状態です。特に血液を全身に送り出す左心室の壁が厚くなります。
心臓が大きくなっても、心臓に酸素や栄養を送る動脈はそのままなので、相対的に心臓は酸素不足の状態になり(虚血状態)、狭心症が起こりやすくなります。さらに冠動脈が閉塞すれば心筋梗塞となります。心筋梗塞が広範に起こると、その部分の心筋は収縮できなくなり、ポンプ機能が低下し、心不全となります。
症状としては、全身に必要な血液を送ることができないため、疲れやすくなります。息切れや呼吸困難も現れ、せきや痰がふえるため、かぜの症状と間違われることもあります。
胸部写真や心電図で心肥大が疑われる場合、超音波検査を行い確定診断します。心肥大は血圧コントロールが不良であることを意味しており、心肥大を認めたら、血圧コントロールをより厳格に行う必要があります。
狭心症
冠動脈(心筋に酸素や栄養を送る動脈)の内腔が狭くなり、血流が一時的にとだえてしまうのが、狭心症です。
高血圧は動脈硬化を促進し、動脈硬化が狭心症を招くので、狭心症を防ぐには血圧管理が必須事項になります。
代表的な症状は圧迫されるような胸痛です。痛みは胸全体や左胸に出ることが多いのですが、のどに拡散することもあります。発作は、だいたい15扮程度でおさまります。
診断はホルター心電図(携帯型心電計で24時間の心電図を解析する)や運動負荷心電図などで行われます。また、冠動脈の狭い部分を特定するために心臓カテーテル検査を行うこともあります。
発作を起こしたときは、ただちにニトログリセリン、あるいは亜硝酸薬の硝酸イソソルビド(ISDN。商品名ニトロール)を舌の下に含みます。
薬物療法で十分治療できない場合は、経皮的冠動脈形成術(PTCA)やステント(金属の円筒やコイル)を挿入する手術、バイパス手術などを行います。同時に高血圧、動脈硬化の治療を行い、食事や日常生活にも注意します。
心筋梗塞
冠動脈の動脈硬化が進行し、血栓によって冠動脈の内腔が完全にふさがれてしまい、その先の心筋細胞が壊死するのが、心筋梗塞です。
激しく胸がしめつけられるような感覚や、呼吸硬軟も長く強く続き、ニトログリセリンや硝酸イソソルビドも効果がありません。
冠動脈の閉塞後、約40扮後に心内膜側の心筋が壊死に陥るため、CCU(冠状動脈疾患管理室)や、ICU(集中治療室)のある病院へ、一刻も早く搬送する必要があります。
急いで、冠動脈を開通させるカテーテル手術を行うとともに退院後は再発防止のために降圧薬やアスピリンなどの血小板凝集抑制薬を服用します。
なお、心筋梗塞は血圧や心拍数が高くなる午前6時から正午にかけて発症しやすいので、早朝高血圧の人は得に注意が必要です。