ポイント
・たんぱく質を十分にとれば筋肉が増えて内臓脂肪が減り、太りにくい体になる
・摂取エネルギーの15~20%はたんぱく質でとるようにする
・タンパク質は量より質。良質なたんぱく質をとることが大切
たんぱく質が不足すると動脈硬化を進行させる
たんぱく質は、体の筋肉や血液の材料になるだけでなく、体が円滑に機能するためのホルモンや酵素などの原料となる大切な栄養素です。
私たちが毎日消費するエネルギーの中で、いちばん大きな割合を占めるのが基礎代謝ですが、筋肉が増えると、この基礎代謝ですが高まります。したがって、たんぱく質を十分にとって筋肉が増えると、基礎代謝が高まり、内臓脂肪の蓄積を抑え、太りにくい体になります。
逆に、たんぱく質が不足すると、元気が出ない、だるい、疲れやすい、といった体の不調をまねいたり、造血作用が低下して貧血を起こしやすくなったりします。また、血管がもろくなって動脈硬化を進行させる要因ともなります。
良質なたんぱく質とは
1日に必要なたんぱく質の量は、成人では適正体重1㎏あたり1~1.5㎏です。総摂取エネルギーの15~20%をたんぱく質でとるようにします。ただし、たんぱく質はたくさんとればよいのではなく、その「質」が大事です。
たんぱく質は、約20種類のアミノ酸という物質がネックレスのように結合してできています。アミノ酸の中には、体内でつくることができるものもあれば、体内でつくれないものもあります。
体内でつくれないアミノ酸を「必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)」といいます。これは全部で9種類あり、すべて食べものから摂取しなければなりません。良質のたんぱく質というのは、この9種類のアミノ酸が理想的な配分で含まれている食品のことで、こうした食品を「アミノ酸スコアが高い食品」といいます。
アミノ酸スコアが100点なのは、牛肉・豚肉・鶏肉・などの肉類、アジ・イワシ・サケなど加工されていない魚類、鶏卵、牛乳などの動物性たんぱく質です。これらは良質のたんぱく質です。
一方、植物性たんぱく質は、動物性たんぱく質にくらべると、アミノ酸の配分がアンバランスです。
ただし、植物性食品でも、大豆とその加工品(豆腐や納豆など)は例外で、良質なたんぱく質をたくさん含んでいます。
たんぱく質は、こうした動物性たんぱく質と植物性たんぱく質をバランスよく(1対1)とることが大切です。
植物性たんぱく質 | 動物性たんぱく質 | |
100 | 肉、魚、牛乳、鶏卵、ヨーグルト | |
90以上 | 枝豆、おから | ナチュラルチーズ |
80以上 | 大豆、豆乳、納豆、木綿豆腐、さといも | あさり、はまぐり、うに |
70以上 | 油揚げ、とうもろこし、にら、なめこ | えび、いか、たこ、ほたて |
60以上 | かぼちゃ、じゃがいも、アスパラガス、えのきだけ、ピーマン、玄米、精白米、そば、落花生、栗、バナナ、いちご | あわび |
50以上 | きゅうり、にんじん、ほうれんそう、キャベツ、アーモンド、ごま、みかん、りんご |
(『五訂 日本食品標準成分表』より)
※動物性たんぱく質では、肉・魚・鶏卵・牛乳などがアミノ酸スコア100ですが、植物性たんぱく質では100のものはありません。ただし、豆腐など比較的高いものがありますので、上手に組み合わせることで、足りないアミノ酸をおぎなうことができます。